2015年12月14日(月)に、もと大阪市立弘治小学校にて、大阪市立大学主催の西成情報アーカイブ移転記念イベント「地域の記録と記憶をつなぐ」を開催しました。

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まず臣永正廣・西成区長の開会挨拶の後、松本篤氏(NPO法人 記録と表現とメディアのための組織remo)による講演が行われました。2002年に発足したremoは、2005年より8mmフィルムのアーカイブ事業に着手してきました。個人の所有する8mmフィルムを収集・整理し、鑑賞会を開催することで、鑑賞者の想起や想像を促し、それぞれの暮らしを見つめ直す機会を設けてきました。さらに、具体的な事例として、浪速区において行政や民間と連携して行った浪速区地域福祉アクションプラン事業「昭和のなにわ わたしのくらし 古くて新しい出会いの場」を紹介されました。この事業では、提供者宅に眠るフィルムを自宅で上映した上で、選別・デジタル化し、区内の各地域で鑑賞会を開催、多世代交流の場を生み出そうと試みてきました。収集された資料は、さらに、区の図書館に寄贈され、郷土学習や地域福祉の促進、さらに地域のお祭りなど、多様な目的と場において活用されています。松本氏は、remo単独の取組みおよび浪速区での取組みを紹介しながら、地域資料のアーカイブづくりをとおして、これまでのつながりをほぐしたり、あたらしいつながりを結うための「集い」の場が開かれていく可能性を提示されました。

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続いて、西成区内・弘治小学校区の「コミュニティ・アーカイブ」づくりを目指して、大学側から資料解説と西成情報アーカイブの今後の展開が述べられました。大阪市立大学・水内俊雄教授は、西成情報アーカイブ事業にて収集・デジタル化してきた多数の古写真、地図や絵図、戦災時の航空写真などの資料的意義について解説されました。さらに、こうした写真・地図資料を用いて、住民から地域や出来事への回想を引き出し、アーカイブ化してゆく取材活動を開始していることが紹介されました。大阪市立大学COC事業(地(知)の拠点整備事業「大阪の再生・賦活と安全・安心の創生をめざす地域志向教育の実践」)の授業も組み込み、学生も参加した地元密着の取り組みとなっています。また、収集した資料の活用方法として、西成区内各小学校で実施している地域学習の出張授業も紹介されました。吉村智博氏は、資料の寄贈やデジタル化の進捗状況を紹介しながら、今後「コミュニティ・アーカイブ」づくりに向けて、引き続き地域の方々とさらに協働していくことを確認されました。その後の質疑応答では、配布資料の解説や、地域の方々との対話が行われました。

当日は、行政・大学関係者や一般の方を含め、定員(40名)を超える方々に参加していただきました。アンケートでは、「過去の記録を色々見せて頂き昔の事がよみがえり我々の知らない部分を知る事ができ、大いに関心を持ちました」、「小学生、中学生にもこの情報を伝えてほしい」という意見がありました。また、「アーカイブの資料に接することによってアーカイブにない記憶や情報が立ち上がってくる」「住民の交流が成立する」ことに関心を持たれた方もありました。地域の方々が参加し、記録(資料)の解説が回想(記憶)を呼び起こし、記録と記憶が共有された今回のような機会は、今後の西成情報アーカイブの在り方を示すことになりました。

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