「わかやま未来学副専攻」第1回スタートアップセミナーと合同で実施

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11月3日(木・祝)に、地域実践演習(GATSUN)Ⅲの一環として、和歌山市フィールドワークを実施しました。本フィールドワークは、COC+事業の「わかやま未来学副専攻」スタートアップセミナーとしても位置づけられ、和歌山大学・摂南大学と合同で実施しました。当日は、和歌山市内のリノベーション物件を、まち歩きで見学し、建物や周辺エリアの多様な考えや表現に触れ、学生たちも交流を行い、和歌山市内の新たな視点を識り、考えをもつ機会を得ました。

★当日の様子はコチラ
(和歌山大学、第1回スタートアップセミナー)

当日は地域実践演習Ⅲのみでもスタディーツアーを実施

上記のスタートアップセミナーに参加した後、和歌山市にて独自のスタディーツアーを受講生と企画しました。10月1か月の短期間の情報収集を経て、以下3つのテーマに取り組むことにしました。

  1. 七曲市場 ~寂れゆくことはないその場所~
  2. インバウンドが生む地域振興の可能性
  3. かつての企業城下町の今は?

当日は、地域実践演習らしく、飛び込みで、現地実習はスタートとなりました。午前のスタディーツアー(スタートアップセミナー)では、奇しくも街歩き拠点を結ぶ中で、ぶらくり丁から連なる商店街、そして複数の拠点がゲストハウスを運営している点など、設定テーマが重なり合う幸運に出会いました。以下、テーマごとの目標、実施内容、知見と課題を受講生が簡単にまとめています(テーマ名をクリックすると各内容が展開表示されます)。

1.七曲市場 ~寂れゆくことはないその場所~

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目標

「和歌山の台所」と呼ばれる七曲市場の現状を知る

実施内容

私たちはかつて市内でも有数の賑わいを見せた七曲市場を訪れた。祝日であったため、わずかに開いている店の店主と通行人への聞き取りだけとなってしまった。市場近隣地域でも地元の方にお話を聞き、最後に和歌山駅前のみその商店街もざっと見学した。

知見と課題

七曲市場は料理屋をはじめとする業者を主な客層とする店舗が多いことがわかった。そのため近隣の住民の利用を期待しているわけではなく、歴史を知らない住民にとってはその存在についてのみ知られているという印象を受けた。提供する商品の質については市内一と認められていると思われるため、生き残ることは可能であろう。一般客をターゲットとしたマーケティング戦略のさらなる強化と共に、レトロな内部の雰囲気を活かした、例えば実現している台湾夜市のような方向性で売り出すのも手段の1つであろう。しかし聞き取りだけでも、和歌山市の人々に愛される現役の「まちの台所」であることがわかった。

近隣地域は、高台のほうが閑静な住宅地となっているが、少子高齢化が著しく、市場近くに位置する小学校は今年度で閉校となるという。閉校跡地には、看護関係の教育施設が誘致されるそうである。

2.インバウンドが生む地域振興の可能性

目標

インバウンドツーリストから見た和歌山市の観光イメージを知る

実施内容

我々のチームは、インバウンドツーリストから見た和歌山市のイメージを知ることを目標とし、JR和歌山駅前で外国人観光客へ直撃インタビューを行った。また幸運にも、午前のスタディーツアー(スタートアップセミナー)で、空きビルからゲストハウスへのリノベーション事例をいくつか見学し、その状況についてお話しを聞くことができた。「インバウンドと地域復興を一体化する」というムーブメントを知るとても貴重な体験であった。

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知見と課題

直撃インタビューで得た情報によると、貴志川線のたま電車や、マグロの解体ショーなど知名度が高いものから、梅そうめんなどのマニアックな物を目的とした観光もあり、新たな観光の可能性を感じた。外国人観光客があふれる、京阪神や高野山、世界遺産の観光地にへきえきとして「和歌山市でちょっと一休憩する」という使われ方も興味深いものであった。リノベーションの事例では、空き家問題の解決だけでなく、サロンやカフェなどの共用スペースを設け、利用客と地域の人が自由に交流できることが重要と思えた。なぜ和歌山市がインバウンドで訪問地に選ばれるのか、その謎が解けた。新たな地域コミュニティ誕生の期待もあり、これからの広がりに注目したい。

3.かつての企業城下町の今は?

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目標

企業城下町の変化と現状を知り、地域のあり方を考える

実施内容

古い住宅地図片手に松江地区内外を歩き、かつての企業城下町の現状を観察しつつ、通りすがりの人々や、地域の商店の経営者らに地域の変化について話を聞いた。

知見と課題

和歌山市北西部の松江地区は、かつての「住金城下町」の風情を残す。地域の人たちによると、松江地区にはかつて「うじゃうじゃ人がいた」そうで、九州からの集団就職者がその町の賑わいを支えていたようである。過ぎ去りし賑わいの跡を求めて歩く中で、「松江銀座」と呼ばれる場所に立ち寄った。8軒の飲食店が連なる、こじんまりとした「銀座」であった【写真(上)】。そのうちの一軒で話を聞くと、九州出身の客も多かったそうで、今でも松江地区周辺の人がよく訪れるという。

この松江銀座の周辺には、かつて住友金属の社宅(長屋)や社員寮が数多く存在していたが、現在では私有地化され戸建て住宅が建ち並んでいる。そこに住む人の多くは、かつての住友金属社員の子や孫の世代であるそうで、この地域への定着傾向がうかがえた。地域ではかつての活気を取り戻すため、近年、夏祭り(盆踊り)を復活させ、多くの人が集まる夏の風物詩として知られるまでになったという。【写真(下)】は新日鐵住友金属社宅。社宅は新築高層化され、かつての「二戸長屋」は周辺にごくわずかに残るばかりである。