地域実践演習Ⅱの一環として紀の国大学の3校及び自治体と協働で御坊市にて防災フィールドワークを実施しました(COC+事業)

1.【主旨】事業概要・目的

平成29年7月8日(土)、CR 副専攻の導入科目である地域実践演習(GATSUN)Ⅱの一環として、御坊市で防災フィールドワークを実施しました。本フィールドワークは、COCの地域実践演習Ⅱの一部を紀の国大学へ開放し、本学、和歌山工業高等専門学校、和歌山大学の3校の教員及び学生、さらに地域の自治体である御坊市防災対策課の職員ら合計で22名が参加し、和歌山の地域性を識るCOC+事業として協働の連携授業が実施されました。

2. 取組み内容

(1)フィールドワーク(まち歩き)

南海トラフ巨大地震による津波浸水や震動被害が実際に想定される地域で、災害リスクや災害対策を知るため、御坊市防災対策課の協力のもと、紀の国大学の3校が協働でまち歩きを行いました。幸い天候に恵まれ、御坊市と隣接する美浜町を約3時間かけて、下記の7つの見学地点(①~⑦)でフィールドワークを行い、現場で様々な発見を得ました。

【まち歩きの様子】

「美浜町津波避難案内図」の前で
① 松原地区高台避難所
  • 昔の景観が残る街並みの見学と「美浜町津波避難案内図」で地形の状態と津波の到達時間の推定など避難対策がどのように施されているかを見学した。
  • 周囲に高台が少ないため、現在高台を建設中(標高15.5m)、想定津波11.37m備蓄倉庫などの整備されることなどの対策の説明があった。


海岸の前で
② 砂丘地形と海岸
  • ここの特徴は、礫の砂浜で波が強い。砂浜のでき方と地形について、地形図をもとに、地層図なども含め特徴を学んだ。湿地は揺れやすいことなど学んだ。


浜ノ瀬津波避難タワーの前で
③ 浜ノ瀬津波避難タワー、「津波の記事」碑(安政南海地震津波)
  • 想定の津波高さが10mで地点が7mであるため 避難タワーの途中まで登れば避難が可能であることの説明を受ける。碑の表示で墨入れの説明があり、タワーの位置がわかるように工夫がされている。照明などで夜でも避難タワーがわかるように工夫がしてある。


街並みと街路の状況を見学④ 街並みと街路の状況
④ 街並みと街路の状況
  • 道路の幅、道の構造、木造建築物が多いこと、ブロック塀があること、災害が発生したことを想定し、街並みを見学しながら意見交換を行う。
    海との位置関係、井戸の場所などを確認する。古い町並みを歩き、戦争の跡なども残っていて、御坊市という街の歴史を垣間見る事ができた。


水害碑の前で
⑤ 茶免橋 水害碑(昭和28年水害)
  • 街の中を流れる川を跨ぐ茶免橋での川の流れの様子を見学し、水害碑でお話を聞く。過去の水害での状況、先人たちが残してくれた教訓を学んだ。御坊市防災対策課の方からも街の地形状況を教えていただいた。


⑥ 薗津波避難タワーと日高川堤防
  • 日高川と隣接する800人が避難できる大きな津波避難タワーの役割を学んだ。防災倉庫もあり、危機体制が高いことがうかがえた。
  • 特別に許可をいただき屋上までのぼり、街全景を見ることができ貴重な体験であった。階段も歩きやすいという意見があり、スロープの配慮がいいとの意見があった。水平避難と垂直避難が重要である事を学んだ。
    もう少し、避難タワーが増える計画もあるとのこと。


天性寺でお寺の方からお話を聞く
⑦ 天性寺
  • 150年前の大津波の被害を忘れないように、先代が書き残された貴重な板書の実物をみせて頂き、後世まで被害を伝えらえていることを学んだ。現在の90歳ぐらいの方たちは、被害が共有されているとのこと。明治22年の大水害は大きく被害を受けた。高台が少ないので、日高別院などに避難。大正5年の水害の写真もみせていただいた。第二室戸台風のときは、寺の瓦2000枚飛んだとのこと。昭和28年の水害の時の写真を見せていただいた。3日辛抱すれば救助がくることが当時避難対策としてあったことが知れた。また当時もいろいろ工夫されて避難対策されていたことがわかった。

(2)ワークショップ(振り返り会)

御坊市役所の会議室をお借りして、まち歩きを通してワークショップを行いました。各校の学生が3つのグループに分かれ、防災をメインとして、観光や地域活性化まで幅広いテーマについて、グループディスカッションを行い、気付きをポストイットに書き、マップに落とし込む作業を行いました。このマップをもとに、各校の専攻の異なった学生が合同で活発な議論をし、最後に、グループごとの成果発表により意見交換を行いました。

各校の学生が混成でグループごとに分かれ活発な意見交換とマップ落とし込み作業が行われました。

 


発表会

1班の発表の様子
 1班
  • 【防災】:津波避難タワーなど、御坊市が防災に力を入れられていることが現場を見て非常によくわかった。また津波避難時の看板が随所に設置されていたり、また津波避難タワーはスロープもありバリアフリーでよかった。町の人たちが、歩いてみるイベント等があれば、もっと親しみがでると思う。
  • 【観光・地域活性化】:歴史のあるレトロな感じがよい。呉服店が多くあり、これを活かしたイベントがあればいいと思う。町が入り込んでいるし、店の場所をもっとわかりやすくするためのマップなどもあればいいと思う。

2班の発表の様子
2班
  • 【防災】:避難の案内表示の看板、地面などの表示が多いのに感心した。広く市民の方に知らせればもっと効果がでると思う。
  • 【観光・地域活性化】:商店街などが、大正・明治のレトロな雰囲気が好印象、もっとSNSなどで情報発信してはどうか。

3班の発表の様子
3班
  • 【防災】:所々に避難場所があり、そこを指し示すポスター等がしっかりしていると思う。災害があった場合は、混乱するので、わかりやすいポスターにしてはどうか。高いところがないので、高台の建設はとてもいいと思う。早く完成してほしい。
  • 【観光・地域活性化】:木造建築の街並みの景観がとてもいい。この雰囲気を残しつつ、耐震工事が必要であると思う。観光マップを活用しやすくして、レトロな雰囲気を活かしモダンをとりいれたカフェなどのリノベーションも効果があるのではないか。


講評

<御坊市防災対策課の方から>
  • いろいろ若い学生さんの意見は参考になります。今後、幅広く 地域及び来られる方に対して、興味のない人にも興味がもてるように発信していきたいと思います。
  • 御坊市では、避難タワーへの導線などを作っているので、来年楽しみにしてほしい。
<各校の先生方から>
  • 防災と観光で連携がとれ、四季を通じて継続的な情報発信ができれば、来訪者がリピートされるだろう。
  • 古い街並みの木造建築の倒壊が心配され、古き良さをのこしつつ耐震化を進め、避難路の確保が必要である。
  • 今回の活動内容は、短時間だが、プロセスとして充実した内容であった。さらに、改善することにより、中味が濃くなってくると考える。
  • 災害時の要配慮者は、老人や障害者以外に、旅行者、外国人も含まれるので、そういうところも含め、防災・観光を考えていく必要がある。
  • 継続的にこのような授業が定着できればいいと考える。

御坊市防災対策課の方、各先生方から講評をいただきました。

3.成果と課題及び今後の展開

今回の活動により、各校の学生同士の活発な交流が図れたこと、また地域の方との積極的な意見交換により、幅広い学びが得られ、地域貢献への展開へと繋がる機会となりました。今回の活動をもとに、今後成果物への展開や、地域への貢献、さらに授業の充実、またフィールドの展開などが検討できればと考えます。

4.学生/地域の声

  • 現場を歩いてみて、地域のことがとてもよくわかった。普段体験できない学修ができ、今回参加してよかった。
  • 御坊市防災対策課の方が、100 万人の方が1回きていただくより、1万人の方が100回きていただけるような街づくりをしていきたいという言葉が心に響いた。・レトロでいい雰囲気の街並みがあるので、SNSなどでうまく情報発信すれば、来てみたい街になると思う。
  • フィールドワークは、地面を見つつ、地面の上を見つつ、人も見つつ 非常に情報量が多く観察ができるところがとても勉強になった。
  • 御坊市の防災マップは、方向や時間も入っており、他にはあまりないとの説明があり、とても参考になった。
  • 防災マップのグーグルアースを活用したアプリを紹介していただき、町がとても身近に感じた。